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犬の皮膚の状態について(皮膚病の原因、症状、治療 )

愛犬をなでることでコミュニケーションを取るペットオーナーは多いでしょう。犬の皮膚や被毛は、寄生虫から身を守ったり、体温を調節したりする大切な役割があります。皮膚には敏感な神経があり、脂肪、水分、ビタミンも含まれています。しかし、犬の皮膚は、痛み、かゆみ、炎症を引き起こすさまざまな病気にかかる可能性があります。これらの病気は、犬の健康に悪影響を与えることもあります。
幸い、皮膚科医でなくても、さまざまな病気とその症状を知っていれば、愛犬の健康をサポートし、獣医師に相談すべき時を見極めることができます。
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犬の皮膚病の症状について

愛犬が皮膚病にかかっているかもしれないサインをいくつかお伝えします。

行動: いつもより体を掻いたり、頭をふったり、毛をなめ続けたり、指の間を噛んだりします。
皮膚:乾燥して炎症が起こり、赤く腫れ上がり、傷などの病変 があります。
被毛: 脱毛が見られたり、べたつき、乾燥、フケがでたりします。
臭い: 皮膚や、耳、傷口から異臭がすることがあります。


犬の皮膚病の原因について

特定の犬種や遺伝的な要因を持つ犬は皮膚病にかかりやすいですが、屋外で過ごすすべての犬がリスクにさらされています。
屋外で過ごす犬は、以下のものに接触して皮膚病を発症することがあります。

  • ダニ、花粉
  • ノミやマダニなどの寄生虫
  • 刺激物質
  • 他のペット(愛犬に病気を移す可能性があります)

獣医師に症状を報告する際、以下の3つの質問に答えることが、愛犬の皮膚トラブルの原因を見つけるのに役立ちます。

  1. - 消化器系の症状はありますか。
  2. - 家の中に病気にかかったペットがいますか。
  3. - 季節的な症状ですか。
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犬の皮膚病についての11の一般的なタイプ


外部寄生虫が原因の皮膚病

ノミ、シラミ、マダニ、 ダニなどの寄生虫が犬に付着し血を吸うことがあります。これらの寄生虫に噛まれたり触れただけでも、アレルギーや傷口の感染、さらには全身感染症を引き起こすことがあります。愛犬を寄生虫から守るためには、被毛の定期的なチェックや予防薬の使用 などの予防 が不可欠です。愛犬の健康を守るために、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
寄生虫について知ることが、愛犬を守る第一歩です。いくつか詳しく見ていきましょう。

感染性病原体による皮膚病

犬の皮膚には様々な微生物が生息しており、普段は問題を起こさずに共存しています。しかし、寄生虫やアレルギー、外傷などが原因で、この微妙なバランスが崩れ、感染性皮膚炎が発生することがあります。温度や湿度、皮膚の構造なども、犬の皮膚の環境に影響を及ぼす可能性があります。


細菌性皮膚病

犬が健康な状態であれば、犬の皮膚に常在する菌は問題を起こしませんが、免疫力が低下したりすると、これらの菌が原因で病気が発生することがあります。重要なのは、皮膚や腸内の細菌叢(腸や皮膚などに常在する菌の総称)のバランスを保つことです。
特に、「膿皮症」と呼ばれる細菌性皮膚疾患は犬によく見られます。このような病気が疑われる場合、獣医師は、細菌が根本原因であるかどうかを確認し、病気の原因となっている微生物を特定するために検査を行う場合もあります。治療には、塗り薬  やシャンプーなどの外用療法が一般的ですが、場合によっては、獣医師が推奨する経口治療や長期治療が必要になることもあります。


ウイルス性皮膚疾患

ウイルスによる皮膚疾患は犬には稀ですが、「乳頭腫症」として知られるイボが最も一般的です。これは自然に消えることもありますが、腫瘍が続いて、(頻繁に出血するなど)犬の生活の質が下がる場合は、手術が必要なこともあります。
特に「ハードパッド症」は足や鼻の肥厚(分厚くなる状態)を引き起こす重大な病気で、命にかかわることもありますが、ワクチンで予防が可能です。これらの症状が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。


真菌性皮膚病

白癬(はくせん)とも呼ばれることもありますが、正式には皮膚糸状菌症と呼ばれる真菌性の皮膚疾患です。真菌は、犬の毛の主成分であるケラチンを餌にしており、爪や皮膚、被毛に病気を引き起こすことがあります。広範囲の脱毛やフケ、切れ毛、毛包や皮膚の炎症が症状として現れることがあります。白癬は感染力が強く、人と犬の間でも感染する可能性があるため、ペットとその周囲の環境をきちんと管理し、治療を徹底する必要があります。治療方法については、かかりつけの獣医師に相談しましょう。


酵母による皮膚病

犬の皮膚には通常、酵母が存在していますが、ある条件下ではこれが病原体となり、皮膚炎を引き起こすことがあります。マラセチア皮膚炎として知られているこの皮膚病は、耳や顔、首、足などに症状を見せることがあり、時には全身に影響を及ぼすこともあります。愛犬の皮膚が異常な臭いを放ち、炎症を起こして色が濃くなり、分厚く見え、かゆみが続いている場合は、酵母の感染が考えられます。この感染症は特有の強い臭い(チーズのような臭い)を伴うことがあります。治療には、塗り薬や経口薬などさまざまありますが、再発を防ぐためには、環境アレルギーなど根本的な問題を特定することが非常に重要です。


耳のトラブル

犬の耳の問題も皮膚疾患の一種である場合があります。細菌や寄生虫、酵母、アレルギー性耳炎だけでなく、草や虫などの異物が耳に詰まることも原因となります。愛犬が強く震えたり、足で頭を掻いたりしている場合、耳の疾患を疑い、獣医師に相談することが重要です。特に、稲が実る季節には、稲穂が耳に入り込んで、鼓膜を傷つけることがあります。

凡例:健康な犬と耳炎の犬の耳道:犬の耳道は「L字」型をしており、自然に排泄できない皮膚の老廃物が溜まっていくことがあります。


皮膚のかゆみ(搔痒症)

「搔痒(そうよう)症」とも呼ばれるかゆみを伴う病気は、体をかき続けることから始まり、皮膚が赤く炎症を起こし、毛が抜ける、手や足の爪でかく、指の間を噛む、過度になめるなどの症状が現れます。かゆみの原因はさまざまで、正確な原因を突き止めて適切な治療を受けることが重要です。愛犬のかゆみの原因を特定し、最善の治療を行いましょう。愛犬がかき続けている場合は、こちらの記事をお読みください。


アレルギー性皮膚疾患

アレルギー性皮膚病は、犬の生活環境、食べ物、ノミに刺されることなどが原因で起こり、皮膚が乾燥したり、赤くなったりします。かゆみが持続し、下痢などの消化器の問題を伴うこともあります。アレルギーの原因となるものは多岐にわたり、季節によって変わることもありますが、どれも愛犬の生活の質に大きく影響を与える可能性があります。犬の皮膚アレルギーについては、こちらの記事を参考にしてください。


特定の食物によるアレルギー性皮膚疾患

特定の食物に敏感でアレルギー反応を起こす犬もおり、食後に皮膚に問題が生じることがあります。食物アレルギーが疑われる場合、炎症を引き起こす可能性のある食べ物を特定するために除去食が処方されることがあります。皮膚が敏感な犬には、その状態に合わせた食事の相談を獣医師と行うことが重要です。


特定の環境アレルゲンによって引き起こされるアレルギー性皮膚疾患:
犬アトピー性皮膚炎(CAD)

犬アトピー性皮膚炎(CAD)は、花粉、ダニ、カビなどのアレルゲン物質に皮膚が過剰反応することで、掻痒(そうよう)性の炎症が起こります。顔、関節、会陰部に発赤や病変が見られます。これは犬にとって非常に一般的な皮膚病の1つで、赤みや腫れ、フケ、脱毛が見られたら、専門的な診断を受けるために獣医師に相談してください。犬アトピー性皮膚炎に関しては、こちらの記事をお読みください。


愛犬の皮膚病全般について

皮膚トラブルは、愛犬が何らかの健康問題を抱えているサインかもしれません。正確な診断を得ることが非常に重要です。早期に病気を知ることが、愛犬の健康を守る鍵です。皮膚の異常や悪臭に気づいたり、かゆがる様子が増えたり、脱毛に気づいたら、すぐに獣医師に相談してください。診察、皮膚アレルギー検査、顕微鏡観察、食事療法の提案など、治療はかかりつけの獣医師にお任せください。

犬の皮膚病の治療法について

犬の皮膚病には、その原因やどれだけ深刻かによって、様々な治療方法があります。外用薬、内服薬、注射などが使われることがありますが、ペットオーナーとして愛犬の皮膚トラブルを予防するためにできることもあります。例えば、寄生虫予防を行い、獣医師のアドバイスを受けながら、愛犬に必要な栄養素を含んだドッグフードを選んだり、外部の刺激に注意しながら日々のスキンケアを行うことで犬の皮膚と被毛の健康を支えることができます。

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