愛犬が常にハッピーでいるために精神的に刺激する
かわいい「我が子」を育てる親として、飼い主たちは誰もが、愛犬のために、心身の健康管理も含めて最善を尽くしたいと思っているはずです。愛犬の健康のために毎日散歩するだけではなく、精神的な豊かさを与えることも同様に重要です。愛犬の日常生活に精神的な刺激を与える方法として、パズルや子犬の頭脳ゲーム、さらには服従訓練を取り入れてはどうでしょう。とにかく、犬は生まれつき好奇心が強く、こうした特性は、愛犬が成長するにつれて、飼い主と一緒に、より充実して豊かな生活を送るのに役立ちます。
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精神的な刺激が愛犬の健康にどう貢献するか
犬の知的刺激に関しては、やり過ぎずに刺激を与えるようにしなければなりません。刺激を受けた子犬は活発で、好奇心が強く、遊び心があり、周囲に強い関心を持って高いエネルギーレベルを示す傾向にあります。
このバランスが取れているかどうかを判断するには、愛犬の行動を理解し、愛犬を取り巻く環境内で興奮度を高めたり減らしたりする必要があります。楽しい刺激を受けている場合には、遊びへの関心や新しいトリックを学ぼうとする意欲の高まり、全体的に満足のいく態度が見られるようになります。
その一方で、刺激が不足している場合には、突然靴や本を噛み散らして遊ぶなど、好ましくない行動を見せ始めることがあります。あるいは、訓練や遊びを嫌がり、無気力となることが見られるかもしれません。愛犬のニーズに応えることで、大切な愛犬が生き生きと幸せな生活を送れるようにすることができます。
子犬を刺激するとは?
子犬を精神的に刺激することは、健康的かつ満ち足りた生活に欠かせないばかりではなく、子犬の将来の行動上の問題を防ぐのに役立ちます。飼い主は、愛犬の脳の発達を促すことで、愛犬に長期的な習慣を身につけさせ、生涯を通じて成長し続けられるようにすることができます。また、ペットと触れ合うことは楽しく、絆を深めるのにも役立つだけではなく、愛犬が元気はつらつと暮らし、エネルギーを発散するのにも役立つことに気づかれることでしょう。
- 社会化:さまざまな人や動物、環境に積極的に触れさせて自信をつけさせ、成長とともに未知なるものに対する恐怖心を軽減させましょう。これは、子犬の攻撃性の問題を防ぐのにも役立ちます。
- さまざまなおもちゃ:子犬に与える安全なおもちゃや、導入するアクティビティを定期的にローテーションして、ワクワクさせて、好奇心を満たしてあげましょう。人間同様、犬も同じものばかりでは飽きてしまいます。おもちゃをいくつか用意して定期的に交換することが大切です。
- 多様な訓練:愛犬に与えるおもちゃだけではなく、訓練中に使うコマンドリストも時折変えるようにしましょう。新しい行動を定着させるには繰り返しが重要ですが、変化をつけることで犬にとって刺激的な状態を保つことができますので、時々新しいトリックや行動を教えましょう。
- ご褒美:子犬を訓練するときは、好ましい行動ができたら、褒めてあげて、訓練を楽しい学習体験にしましょう。おやつを使用する場合は、犬の1日の推奨カロリー摂取量内であげるようにしてください。
- 問題解決ゲーム:パズルや知育玩具は、子犬が夢中になって楽しめ、新たな問題解決能力を刺激します。これらのおもちゃは、探求心と創造性を育みます。
- 服従訓練:愛犬の精神的発達を促し、規律心を養うのに役立つ服従訓練を行いましょう。また、「放せ」や「ドロップ」コマンドで食べてはいけないものを食べないようにしたり、呼んだら戻ってくるなどの適切な訓練で愛犬の健康を守ったりすることは、愛犬の世話にも役立ちます。
- 運動:愛犬の健康にとって訓練や認知発達と同じくらい重要である散歩、ランニング、遊び時間などの身体的な運動を取り入れましょう。さあ、今すぐソファから立ち上がり、愛犬を散歩に連れて行くか、公園や家の中で一緒に遊んで、心も体も健やかな状態に保ちましょう。
- 匂いを嗅がせる時間を与える:嗅覚による探索を楽しませましょう。他の犬やその他の興味をそそるものすべての匂いを嗅ぐことは、犬の精神衛生や健康にとって非常に重要です。子犬に何一つ匂いを嗅がせてあげない長めの散歩より、匂いを嗅がせる時間を与える短めの散歩のほうが良いでしょう。
子犬期の間に精神的な発達を刺激する
飼い主は、愛犬が子犬から老犬へと移行する中で、行動の変化や、成長に伴う犬のあらゆる節目を経験するでしょう。それぞれの発達段階において、適応力のある健康な犬に育てるためにできることはさまざまです。愛犬がこれらのさまざまな段階を通して精神的に刺激を受け続けることは、犬の脳の発達と生涯にわたる健康にも役立ちます。
こうしたさまざまな段階は、犬種やサイズにより異なります。ダルメシアンやグレートデーンなどの大型犬は成長が遅く、子犬の段階が少し長く続きます。一方、ポメラニアンやシーズーのような小型犬は、各段階を通して速いペースで成長し、早い段階で成犬期に突入します。
子犬期前期
生まれたて~4週間
子犬の学習能力はまるでスポンジのようで、周囲のあらゆる社会的な合図や基本的な命令を吸収していきます。そのため、初期の訓練では、「おすわり」や「待て」などの基本的なコマンドに重点を置く必要があります。最初の数週間で初歩のコマンドを覚えさせながら、世界を探検させ、飼い主であるあなたと絆を深め、犬元来の好奇心を刺激してあげましょう。
愛犬を楽しませながら成長をサポートするためのコツをご紹介します。
- さまざまな質感と音で刺激的な環境を提供する
- 初歩的な服従訓練で与えるご褒美やおやつは、常に1日の推奨カロリー摂取量内から与えるようにする
- 愛犬が自分のペースで成長できるようにする
犬の成長段階はサイズによって異なり、大型犬の場合は発達に少し時間がかかることがよくあります。
社会化段階
4~12週間
子犬はすべての人やあらゆるもの(特に、他の犬)に興味を持ちます。この段階で子犬の社会化スケジュールを立て始めることをおすすめします。完全にワクチン接種が完了すると、他の犬や人との交流を学ぶことができます。また、訓練を継続して、少しずつ訓練を重ねていくことが重要です。
日常生活に組み込むことができるおすすめのルーチンは以下のとおりです。
- 見知らぬ人や子犬と交流させたり、新しい環境に連れていったりしましょう。このとき、愛犬がどの程度、快適であるかに注意し、圧倒されたり過度に刺激されたりしないように気をつけます。
- 基本コマンドを続けながらも、呼んだら戻ってくるように訓練したり、「ドロップ」や「放せ」などの新しいコマンドを追加しましょう。
- 子犬向けクラスにも参加すると、社会性と精神性での発達が促されます。私たちはそれを「学習」と考えるかもしれませんが、犬にとっては楽しくて刺激的なものになるでしょう。
幼少期
3~5か月
子犬期には注意力が持続でき、訓練や遊びに対して高い集中力を維持する傾向があります。この時期には、子犬に新しいトリックを教えると良いでしょう。また、愛犬の頭を働かせるために、問題解決型のスキルを教えることもできます。それはすべて子犬にとっては楽しい遊びです。
ここでは、幼い愛犬に楽しんでもらうためのアイディアをいくつか紹介します。
- 「シェイク」や「ロールオーバー」などの高度なコマンドに焦点を当てて訓練する
- スナッフルマットなどの室内での知育玩具を使った遊びや、その他の匂いを使った屋外での基本的訓練を行い、常に、「楽しく遊ぶこと」に重点を置くこと
- 時々、餌の時間も脳を刺激する活動になるよう工夫し、食事の時間をもっと挑戦的で楽しくするパズルや早食い防止のスローフィーダーグッズを買ったり、犬用パズルのような問題解決型おもちゃや「宝探し」ゲームを取り入れたりする
思春期
6~18か月
思春期になると、子犬は訓練者の限界を試し始めるため、訓練が難しくなったり、もっと忍耐が必要になったりすることがあります。飼い主は、愛犬がすでに学んでいるはずのコマンドへの反応が鈍くなったり、反応するのに少し時間がかかることに気づくかもしれません。その一方で、この時期のプラス面としては、より複雑なタスクを与えることにより愛犬の興味をそそることができる点です。
訓練をスムーズに進めるため、ちょっとしたコツをご紹介します。
- お辞儀をさせたり、後ろ向きに歩くなどのより高度なトリックや、楽しさを感じられるその他の訓練を一貫して取り入れる
- より複雑なパズルや、物を投げて取って越させるようなゲームで愛犬でチャレンジ精神を刺激する
- 愛犬を訓練に飽きさせないためのおすすめの方法として、ワンランク上の服従訓練クラスに登録することを検討する
注:犬によって思春期に達する年齢は異なります。たとえば、マルチーズのような小型犬では生後6か月で、ボーダーコリーのような中型犬の思春期は生後約7か月頃に始まります。一方、グレイハウンドのような大型犬であれば、8か月で思春期に入り、グレートデーンのような超大型犬は生後約1歳でようやく思春期が始まります。
成犬期
1~8年
成犬期に入ると、より成熟し、コマンドをより正確に理解したり、好きな人間と交流したり、複雑な問題を解決したりできるようになることに飼い主は気づくでしょう。認知能力を維持しサポートするために、継続的な精神的な刺激も役に立ちます。
愛犬が幸せに暮らせるようにするために、次の行動がおすすめです。
- 愛犬の日常生活に小さな変化や新しい経験を与えて、精神的に刺激を与える
- 高度な脳トレゲームやパズルを導入して、犬の問題解決能力を高めて、パズルの難易度を上げていく
- アジリティ訓練を通じて、問題解決と高度な精神的刺激を促す
注:犬種により成長の段階は異なります。チワワのような小型犬であれば8〜10か月で成犬に達する一方で、オーストラリアンシェパードのような中型犬は、生後約12か月で成犬になります。また、レトリーバーのような大型犬は15〜16か月で成犬になり、セントバーナードのような超大型犬は18か月で成犬とみなされます。
成熟したシニア犬
8年以上
高齢期になると、犬は認知機能の低下に直面するようになります。精神的刺激を日常生活に取り入れているなら、これを続けることで、犬の認知力の大幅な低下をある程度防ぐことができます。さらに、犬向けの精神的な訓練を続けることは、高齢期の犬の頭脳を明晰に保つのに役立ちます。
この時期に重点を置くべき領域は以下のとおりです。
- 服従訓練やトリック訓練を継続して、犬のエンリッチメント活動に取り組む
- 難易度の低いパズルをルーチンに含める
- 愛犬に合ったペースで進み、休息する時間を与える
注:犬種により、シニア犬となる年齢も異なります。ヨークシャーテリアのような小型犬は、約12歳でシニア犬とみなされるのに対し、シベリアンハスキーのような中型犬は、約7〜10歳でシニア犬となります。また、ロットワイラーのような大型犬は約8歳でシニア犬となり、グレートデーンのような超大型犬は5〜6歳でシニア犬とみなされます。
遊び時間:愛犬のための8つの脳のゲーム
子犬や犬が精神的に刺激され続けるのを助けるために、犬や子犬の脳を刺激して発達させるのに役立つ、子犬のメンタルエクササイズや知育ゲーム、おもちゃ、アクティビティをいくつかご紹介します。
おもちゃに犬用おやつを詰め込んで、子犬におやつを取り出させるようにします。犬の肥満を防ぐため、このゲームでのおやつの分量は、犬の推奨される1日の摂取カロリーから常に差し引くようにしてください。または、おもちゃに入れる分は、一日の食事分から取るようにします。
子犬におもちゃを箱や家の中の特定の場所に片付けさせるように訓練しましょう。これは子犬の心を刺激するとともに、家をきれいに保つのに役立つ良い方法です。
これは愛犬の問題解決能力を鍛えるのに役立つ、優れた知育玩具です。ただし、愛犬の健康管理の観点から、ここで使用するおやつは、1日の推奨カロリーから必ず差し引くようにしましょう。
椅子やほうき、毛布などの日用品を使って、リビングルームに障害物コースを設置しましょう。このような障害物コースは、愛犬の精神を刺激する素晴らしい遊びになります。
子犬の動きに反応し、無限に楽しめる、インタラクティブな知育玩具を購入しましょう。家にあるものを使って、犬用のパズルを手作りすることもできます。
おもちゃの名前を理解させることは、愛犬にとって素晴らしい知育ゲームになります。おもちゃを1つだけ用意して、愛犬と一緒に遊びましょう。遊びながら、おもちゃの名前を声に出して伝えます。ご褒美を上手く使って、おもちゃの名前を繰り返すようにすれば、次第に愛犬はおもちゃの名前とおもちゃを結びつけることができるようになります。
飼い主なら誰でも、自分の犬に話しかけてもらいたいと思っているはずです。トークボタンを使えば、それが実現できます。すでに知っているコマンドや言葉、または「散歩」などのお気に入りの言葉を録音したボタンをいくつか用意します。ボタンの使用に慣れてきたらボタンの数を増やしていきます。
コップを逆さまにしておやつを隠し、その隣に、何も入っていない2個のコップを逆さにして置きます。愛犬に鼻を使っておやつを見つけさせるゲームで「シェルゲーム」と呼ばれています。おやつを使ってのゲームは、犬にとって楽しく、魅力的で、精神的な刺激になります。ただし、ここで使用するおやつ分は、犬の毎日の食物摂取量や1日の推奨カロリー摂取量から差し引くようにすることが大切です。また、おやつだけでなく、植物、エッセンシャルオイルなど、犬にとって安全なその他の香りを使って、匂いを嗅ぐ遊びをすることもできます。
その他のアイディア:宝探しゲームで、愛犬に隠したおもちゃやおやつを見つけ出してもらいましょう。このゲームは、犬生来の狩猟本能を刺激するだけではなく、認知能力を高め、退屈を防ぐため、愛犬が喜んでくれるでしょう。
精神的な充実は、犬の全体的な幸福に欠かせない要素です。子犬期から年齢に応じた活動を組み込み、訓練や犬の運動習慣に精神的な刺激を取り入れることで、家族の一員である愛犬の精神発達と健康をしっかりとサポートできます。こうした活動は、飼い主と愛犬の間の絆を強めるのにも役立つでしょう。愛犬のハッピーライフを叶えることができるのは、飼い主であるあなただけです!
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